企画に沿ってストーリーを組み立てる

ある程度計画を立てることができれば、それらの計画をベースにしてストーリーを組み立てていきます。

 

プレゼンテーションに慣れないうちは、どのようにしてストーリーを組み立てればいいのかが分かりません。ここでは簡単にストーリーを組み立てることができる「SOフレームワーク」というものをご紹介します。

 

SOフレームワークとは「S(ストーリー)のO(王道)」フレームワークです。つまりストーリー作りの王道テンプレートといったところでしょうか。具体的には以下の3つのステージで構成されます。

 

信頼構築のステージ

情報伝達のステージ

行動喚起のステージ

 

プレゼンテーションを進めるにあたって、それぞれのステージには目的があります。これらの目的を達成できるように話を組み立てていくと、自然と伝わるストーリーができているという流れになります。

 

それでは順に解説していきます。

 

信頼構築のステージ

プレゼンテーションの最初の段階では何を行わないといけないでしょうか?気の知れた仲間同士ならまだしも、プレゼンテーションでは見ず知らずの人の前で話すという場面も多々あります。
こうした場面では、聞き手も「この人はどんな人なんだろう?」と様子をうかがっている状態。まだお互いの状況が理解できていない状況で情報を伝えても十分には理解してくれません。

 

その理由は、プレゼンターと聞き手との間にまだ信頼関係ができていないからなんです。まだ警戒している状態で「この商品買ってください」って言われても買わないですよね。ですので、最初の段階ではプレゼンターと聞き手との距離を少しでも縮めておく必要があるんです。

 

この段階はSOフレームワークでは「信頼構築のステージ」と呼んでいます。このステージでは文字通りプレゼンターと聞き手との信頼関係を構築することが目的となります。具体的には

 

アイスブレイク(つかみ)
自己紹介(なぜ自分なのか)
問題提起(聞き手の声を代弁)
ゴール設定(聞き手のゴール)
アジェンダ(話す内容一覧)

 

こういったことを話しながらプレゼンターと聞き手との心の距離を縮めていくんです。

 

 

情報伝達のステージ

信頼構築のステージで、プレゼンターと聴き手との距離が縮まったら、いよいよ本題である情報を聞き手に伝達します。この段階をSOフレームワークでは「情報伝達のステージ」と呼んでいます。情報を相手に伝えるにあたって、留意しておくべき点が2つあります。それは

 

分かりやすいこと
おもしろいこと

 

です。まず1つ目のポイントは「分かりやすい」ことです。よく専門家がプレゼンテーションを行う際、わざと難しい専門用語を使って説明をすることがあります。この場合、聞き手も同じ分野の専門家であれば問題ありませんが、たいていの場合はそうではありません。

 

よく「自分を偉く見せよう、格好良く見せよう」として、あえて専門的な用語を使ってプレゼンテーションを難しくしようとする人がいます。自分の立場を相手よりも上回りたいという気持ちの表れでしょうが、いくら専門知識があっても聞き手に伝わらないようであればプレゼンテーションとしては失格です。

 

それは知らず知らずのうちに相手との壁を作ってしまう行為になります。せっかく信頼構築のステージで信頼関係を築いても台無しになってしまいます。なので、できるだけ聞き手がわかることばで、順序立てて、そして論理的に話すことが求められます。

 

そしてもう1つのポイントは「おもしろい」ことです。ここで「おもしろい」と書きましたが、聞き手を笑わせるという意味ではありません。ここでの「おもしろい」とは、「感情が動かされる」という意味を指します。

 

いくら話の内容がわかりやすくても、淡々と話をされてはおもしろくありません。「あの人の言うことは正論だしよく分かる。でも私はあの人があまり好きではない。」こうなってしまうと、せっかく情報は伝わっているのに行動を取ってもらえないんです。

 

また人は心が動いたときに行動を起こすと言われています。つまりプレゼンテーションの話の中に、心を動かされる「おもしろさ」が求められるんです。

 

この「分かりやすさ」つまり論理的に情報を処理するのは左脳が担当します。一方で「おもしろさ」つまり感情的に情報を処理するのは右脳が担当します。

 

分かりやすさ=話が論理的に組み立てられている=右脳

おもしろさ=話が感情を揺さぶる=左脳

 

情報伝達のステージでは、聞き手の右脳と左脳、つまり脳全体に響くような話し方が求められます。論理的に話す方法、そして感情的に話す方法の詳しい内容については、このサイトにヒントがたくさんありますのでぜひ参考にしてください。

 

 

行動喚起のステージ

聞き手との信頼関係が構築され、分かりやすくおもしろく情報を伝えることができれば、聞き手はあなたに対してかなり前向きな状態になっています。しかし多くのプレゼンテーションでは、この状態で終了してしまい、惜しいチャンスを逃してしまっていることがあります。

 

最後のステージでは、聞き手に目的とする行動を取ってもらうための最後の一押しをします。聞き手は納得はしていながらも、行動しようかどうかのあと一歩のところで迷っています。そこで「ポン」と背中を押してあげることで、聞き手は決断し、行動を取ってもらうことができるんです。この段階をSOフレームワークでは「行動喚起のステージ」と呼んでいます。

 

具体的には、次のようなことをします。

 

今日話してきた内容をまとめる
もやもやしている疑問点を解く
取ってもらいたい行動を具体的に伝える

 

特に行動をためらっている理由はまだ頭の中がすっきりしていないという理由が多いです。つまり、今回のプレゼン内容を十分に把握していない、あるいは一部もやもやしているところがある。そして何をすればいいのかわからない。こうしたことが原因で頭の中がすっきりとしていないんです。

 

 

 

ストーリーはどうやって作ればいいの?

ここまでストーリーを組み立てるためのSOフレームワークについてお伝えしました。なんとなく流れは理解していただけたのではないでしょうか。しかし、いざプレゼンを作成する際、どうやってこれらのストーリーを作成すればいいのか悩まないですか?

 

私がストーリーを作成する際には「マインドマップ」を用いて頭の中を整理しながら作成します。ただ、手書きのマインドマップだと、順序の入れ替えができないので、パソコンでできるマインドマップソフトを使って整理しています。

 

そして実際に自分が聞き手の立場に立って、理解できるか、話が飛んでいないかを確認しながらストーリーを作成していくんです。実際のマインドマップイメージがこんな感じです。こちらはXMindというソフトで作成したプレゼンセミナーのシナリオです。

 

 

あとは書籍の目次を作成するように箇条書きをしてみたり、付箋紙を使ってアナログで組み立ててみたりと、様々な方法がありますので、色々と試してみて自分に合った方法を見つけてください。

 

ただ、まだパワーポイントは使用しないでください。

 

これは様々な書籍にも書いていますが、私の経験上いきなりパワーポイントを開くと、なぜか思考停止してしまうんです。言い方を変えると、ストーリーが流れるように思い浮かばなくなってしまうんです。

 

これはパワーポイントのようなプレゼンツールが、自由な発想を遮ってしまうためで、無意識のうちに「型にはまった」考え方しかできなくなってしまうんです。なので、ストーリーが考えている間は、マインドマップや手書きのノートなどを使用して、自由に書いていくことをお勧めします。

 

ストーリー作りには時間がかかりますが、一旦大きな流れを決めてしまうのがいいです。いきなり細かい流れまで完璧に決める必要はありません。その理由は、スライドを作成し本番に向けて練習する中で、どんどん新しいアイデアや流れが見えてくるからです。

 

一旦骨組みを決めてしまうというイメージで、ストーリーを作成してみてください。

 

 

 

このページの先頭へ戻る